25年近く住んだ実家を出て、東京に一人暮らしをする。
そう決めたのはいいものの、東京の一人暮らしはやはり田舎の実家で暮らすよりはるかに生活費が高くなる。
そう思っていた。
事故物件という美味しい存在を知るまでは……。
この記事では、25年間実家暮らしだった俺が、東京の事故物件を見つけて上京するまでを書いた。
━━という人はぜひとも参考にしてほしい。
東京の家賃は高い
一般的に「東京」といえば東京23区を指すことが多いので、俺は23区内で一人暮らしするためのワンルームか1Kの部屋を探した。
ただ、東京23区から遠いところに住むと、東京23区の中心に移動するまでに交通費と時間がかかるし、田舎➡︎田舎に引っ越すのではせっかく上京する意味がうすくなる。
俺は最初から、東京23区に絞って部屋を探した。
でも、探し始めてすぐに悟った。
23区の家賃は高すぎる!
東京23区内でまともな物件に住むとなると、やはりワンルームでも7万円以上はかかってくる。
もちろん東京23区内でも、3万円代の格安物件はある。
たとえばこれ。
世田谷区という好立地なのに、家賃は3万円代と格安。
部屋は狭いけど、住めないほどじゃない。
━━と思ってしまったあなたは、まだ甘い。
部屋の間取り図をよく見てほしい。何かが足りなくないか?
そう、トイレとバスルームがないんだ。
実はこの物件は、トイレはアパートの入居者全員と共同で使うというルール。
俺は前の会社で男3人と同じ社員寮に住んでたから、他人と風呂場やトイレを共同で使うことには慣れていた。
でも、社員寮の場合はちゃんと素性のしっかりした同じ会社の社員と一緒に暮らしていたのに対して、この物件では全くの赤の他人とトイレを共同利用することになる。
ここまで家賃の安い物件だし、建物の外観を見ても、築50年は経過しているボロさは隠しようがない。
━━と言う人もいるかもしれないけど、
いわゆる「割れ窓理論」というやつで、最初から建物がボロいと、キレイに使ったところで結局はボロいんだから、みんな汚して使うようになる。
この物件に内見には行ってないから想像でしかないけど、たぶん共同トイレはかなり汚いと思う。
(実際にこの物件に住んでる人がいたら、共同トイレの様子をリポートしてほしい)
しかもバスルームは建物内に存在しないので、お風呂に入りたい時はジムのシャワーを浴びに行くか、銭湯に行くしかないからめんどくさいし、余計なお金もかかる。
汚い共同トイレを、全くの赤の他人で素性のしれないおっさん(ボロい建物に住んでるのはたぶんおっさん)と一緒に使って毎日を暮らすのは俺にはムリだ。
何日間もSUUMOやホームズなどの賃貸物件紹介サイトに張りついて調べたけど、やはり東京23区で3〜4万円代の安い物件となると、
- 風呂・トイレがついていない(あるいは共同で使う)
- 建物がボロい(築50年以上はザラ)
- 駅から30分以上離れている
━━などなど、かなり悪い条件であることが多い。
賃貸における家賃なんて「捨て金」でしかないし、家賃はどうしても3〜4万円くらいに抑えたい。
東京23区に安く住むことはできないのだろうか……。
事故物件というお得な存在を知る
事故物件とはつまり、
━━と言う人の気持ちもわかるけど、部屋の中で住人が死亡した場合、専門の業者が特殊清掃という作業をやってくれているから、たとえ前の住人の遺体が腐っていようが、跡形もなく掃除をしてくれている。
部屋の消臭をしたり、臭いのついた家具を撤去したり、部屋を元通りに原状回復してくれる。
事故物件といっても、前の住人の死体があった痕跡は完全に消えているんだ。
だから、気にしなければ事故物件はふつうの物件と変わらない。
というか、前に死んだ人を気にするなら、関東大震災と東京大空襲を合わせただけでも軽く20万人くらいが無念の死を遂げている。
歴史を振り返れば、東京なんて丸ごと事故物件だ。
死んだ人なんて気にしなくていい。
結局、生きてる奴がいちばん強いし、生きてる奴がいちばん怖い。
事故物件のいいところは、
前に住んでいた人が死んで少し気味が悪いだけで、事故物件にはなんらの実害がない。
なのに、家賃は大幅に安くなる。
これだ。
東京23区に安く住むなら、事故物件に住むのがいい。
港区は事故物件でも高い
港区は日本一家賃相場の高いエリアで、高所得者ばかりが住んでいる。
みんなもご存知の通り、港区に住むのは一種のステータスだ。
━━と聞いてもないのにわざわざ自己紹介してくる奴は、マウントを取りに来てると思っていい。
そんなお金持ちが多く住む港区にも、事故物件はもちろんある。
ただし、
たとえば港区の割とアクセスの良い場所にある、こちらの事故物件。
部屋の形はヘンテコだけど、風呂トイレはちゃんとついてるし、室内に洗濯機も置けるし、収納もある。
何より7.5帖だからそこそこ広い。
ただ、この物件、ページをよく読むと、「告知事項あり」と書かれている。
「告知事項あり」というのは、つまり事故物件であるということを遠回しに書いているということ。
━━と思ったんだけど、それでも家賃は6万円とまだ高い。
同じマンションの他の部屋の価格と比較してみよう。
見ての通り、事故物件になっているワンルームの家賃は6万円だけど、同じ建物の他のワンルームの部屋とほとんど家賃に差がない。
そう、つまり、
これは港区だけでなく、中央区、渋谷区などの人気エリアは、オーナーが強気なせいで事故物件でも家賃が下がりにくい傾向にある。
もしかしたら俺が見つけられていないだけで、港区でも大幅に家賃が安くなった事故物件があるのかもしれないけど、すぐに募集が埋まるだろうから、見つけるのはむずかしい。
ダメだ。
やはり港区などの人気エリアで、家賃3万円代のまともな部屋を見つけるのはムリだ。
23区にも序列がある
いや待て。
東京23区でも人気エリア/不人気エリアで分かれているはずだ。
港区みたいなお金持ちエリアはあきらめて、もっと家賃相場の安い区をえらべばいい。
関西育ちの俺はよく知らなかったけど、調べてみると同じ23区内でも家賃相場はぜんぜんちがった。
このサイトを参考に、東京23区の家賃相場をまとめみた。
区名 | 家賃相場 (ワンルーム) |
---|---|
港区 | 7.3万円 |
台東区 | 7.1万円 |
渋谷区 | 7万円 |
中央区 | 7万円 |
品川区 | 7万円 |
豊島区 | 6.9万円 |
足立区 | 6.9万円 |
目黒区 | 6.9万円 |
千代田区 | 6.8万円 |
文京区 | 6.7万円 |
世田谷区 | 6.7万円 |
新宿区 | 6.7万円 |
杉並区 | 6.6万円 |
墨田区 | 6.5万円 |
荒川区 | 6.5万円 |
北区 | 6.4万円 |
大田区 | 6.4万円 |
中野区 | 6.3万円 |
江戸川区 | 6.2万円 |
江東区 | 6.2万円 |
板橋区 | 6.1万円 |
練馬区 | 6.1万円 |
葛飾区 | 5.9万円 |
狙い目はやはり、
・江東区
・板橋区
・練馬区
・葛飾区
この5つの区あたりだろう。
これらのエリアなら、東京23区内でありながらかなり家賃を抑えられる。
見栄を張って港区に住む必要はない。
練馬区にお得な事故物件を見つける
事故物件に絞って探していると、練馬区にいい事故物件が見つかった。
特定されるとイカンので、間取り図は載せられないけど、
- ワンルーム6帖で家賃は3万円代
- オートロックつきの高層マンション
- 練馬駅から徒歩10分圏内
練馬区でいちばん栄えている練馬駅に近いし、何より家賃が3万円代は破格に安い。
ワンルーム6帖だから狭いとはいえ、風呂・トイレはちゃんとついてるし、オートロックつき高層マンションだから住民の質も悪くなさそう。
とはいえ、事故物件だから、前の住人が具体的にどんな死に方をしたのか気になる。
そこで事故物件公示サイト「大島てる」で、調べてみた。
情報源は一般人の口コミだから、不正確な情報もあるけど、事故物件を探すときにはおおむね信頼できるサイトだ。
大島てるで調べてみると、たしかにその物件には炎のアイコンが表示されていた。
この炎のアイコンをクリックしてみると、「死体発見」とだけ書いてあった。
大島てるに具体的な死亡状況が書かれていることは少ないので、より詳しい情報を得たい場合は、その物件を扱う不動産会社か管理会社に直接連絡するしかない。
大島てるは1日中時間をつぶせるくらい面白いサイトなので、ぜひあなたの自宅の近くに事故物件がないかチェックしてみてほしい。
不動産会社に連絡
詳しい事故物件の情報を得るために、不動産会社に電話でストレートに聞いてみた。
不動産会社の営業マンの返答をまとめると、
- この部屋に住んでいた高齢者が、先月、バスタブで亡くなっているのが発見された。
- 死体発見まで時間がかかったせいで、風呂場のダメージが大きく、風呂場には特に念入りに特殊清掃を実施した。
- なので、良い物件にもかかわらず、家賃を3万円代まで下げている。
━━とのことだった。
最近増えている高齢者の孤独死だった。
といっても、それ以外はごく普通の部屋で、雨漏りがするわけでも、隣にシリアルキラーが住んでるわけでもないらしい。
でも、不動産会社には事故があった場合は、それを告知する告知義務があるので、遠慮しないでどんどん聞けばいい。
事故物件であることが原因で、家賃が3万円代になっているのはかなりいい条件だ。
(ちなみに、練馬区の家賃相場は6万円くらい。相場の半額の家賃だ)
俺はここに住むことに決めた。
ちなみに、念のためにこの事故物件をGoogleストリートビューで見てみると……
この洗濯物はもしや……。
Googleストリートビューのこの写真が撮影された日付を見てみると、
撮影日は2022年7月。
俺が不動産会社に電話して問い合わせたのが、8月でその時に営業マンは「前の住人は先月に亡くなった」と言っていた。
ということは、この洗濯物は孤独死した高齢者のものなのかもしれない。
亡くなって死体が発見されるまでの間、同じ洗濯物が長い間ずっと干されていたはずだけど、誰もそれを不審だとは思わなかったんだろう。
隣人同士の距離が近い田舎なら、洗濯物が長い間干されていたらすぐに異変に気づいただろうが、誰も隣人に興味のない都会では誰も不審に思わなかったんだろう。
東京という匿名社会が少し怖くなった。
そりゃ、孤独死してもすぐには発見されんわ。
オンライン内見
コロナ禍以降は、保守的だった不動産業界もだいぶん変わった。
いちばん大きな変化は、
俺は奈良県に住んでたから、東京の物件の内見をしようとすると昔ならわざわざ内見のためだけに東京に行く必要があった。
でもコロナのおかげで、Zoomを使って奈良県にいながらにして、東京の物件を内見できるようになった。
もちろんオンライン内見では、匂いやその場の雰囲気は伝わらないけど、ワンルームならオンライン内見だけで十分だと俺は思った。
もちろんオンライン内見より、実際に物理的に内見したほうがいいのは間違いないけど、わざわざ東京に高い交通費を払って内見しにいくのはめんどくさかったので、俺はオンライン内見のみで済ませた。
結果的に、オンライン内見で見た時よりも部屋が狭かったという不都合もあったんだけど、まあおおむね問題なかった。
契約も重説もオンラインで完結
内見だけでなく、賃貸契約と重説もLINEのビデオ通話で完結した。
俺がコロナ禍以前に部屋を借りた時は、わざわざ不動産会社にまで出向いて契約をする必要があったけど、今はそれもオンラインで完結する。いい時代になった。
保守的な不動産会社だと、オンライン内見さえしてくれないところもある。
ただ、カギの受け渡しだけは、どうしても郵送などではムリで直接不動産会社に出向く必要がある。
ということで、入居日(賃貸契約開始日)に東京に上京し、不動産会社にカギをもらい、その日から新居に住み始めることにした。
引っ越し業者は使わない
荷物が少なかったので、俺は引っ越し業者は使わずにヤマトの宅配便を使った。
新居に持っていく荷物がダンボールで10箱以内におさまるなら、引っ越し業者を使うより宅配便で送った方が安くなることが多い。
引っ越し業者は、業者によってもシーズンによっても価格が変わってくるし、中にはぼったくり価格を提示してくる引っ越し業者もいるから交渉がめんどくさい。
でも宅配便なら、どのシーズンでも価格が一緒だから、交渉する必要がない。
ダンボールが10箱以内におさまるなら、引っ越し業者よりも宅配便を使った方がいい。
夜行バスで上京
新幹線でリッチに上京したいところだったけど、少しでも節約するために夜行バスを使った。
夜行バスは貧乏人の強い味方ではあるんだけど、隣の座席に人が座られるとだいぶきつい。
寝れないことはないけど、熟睡はできない。
交通費の安い夜行バスは、睡眠が犠牲になってしまう。
お金持ちは絶対に乗らない交通手段だ。俺も新幹線に気兼ねなく乗れるくらいのお金が欲しい。
東京で事故物件暮らしスタート
夜行バスで事故ることもなく、無事に上京できた。
不動産会社からカギをもらい、新居に到着。
ということで、これで俺の上京は無事に終了し、これからは東京で一人暮らししていくことになる。
いつまでこの事故物件で暮らすかはわからないけど、事故物件の住み心地についてはまた記事にしたいと思います。
東京に住んだからと言って、急に偉そうになる、なんてことはないので、これからもよろしくお願いいたします。
おわり。いや、東京生活のはじまり。
YouTube版
東京の部屋探しに俺が使ったサービスを紹介する
- 俺がメインで部屋探しに使っていたのが、チャット不動産の「イエプラ」。
不動産屋に連絡するとすぐに電話をかけてくるのがめんどくさいけど、イエプラなら電話じゃなくてチャットだけで部屋を探してくれる。
チャットの返信速度がAI並みに早いので、ぜひ使ってほしい。
(ちなみに俺はこれで事故物件を探してもらった)
- 「部屋まる。」も東京での部屋を探すなら、必ずチェックすべき母艦サイトだ。
家賃6万円以下の部屋に絞られているので、一人暮らしなら絶対に見ておくべし。
俺もここで東京23区内家賃3万円台の部屋を多数見つけた。