今回は、「法学部と経済学部のどちらに進学すればいいのか?」と迷っている大学受験生に向けて、メッセージを送ります。
結論を言うと、
──これが結論です。
僕は4年間、法学部で学んでいました。
あくまでその経験から語りますので、偏った意見かもしれませんがご了承ください。
今回は、純粋に学問としてどっちを学ぶべきか、という話を書きます。
法律は時代遅れの古いルール
まず法学とは、かなりざっくり言うと、
つまり、法学とは、「今あるルール」について学ぶのです。
これのどこがまずいかというと、今ある法律のルールはかなり時代遅れなものが多いということです。
たとえば、民法733条には再婚禁止期間が定められています。
これがどんな内容かというと、「女性は離婚した後、6ヶ月間は再婚してはならない」というルールです。
明治時代にこのルールが作られてから、何十年もこの法律が残ってきました。
しかし、2016年にようやくこの民法が改正され、再婚禁止期間が100日に短縮されました。
写真は、改正された民法733条です。ご覧のように、有斐閣の六法は、前年版から改正された条に傍線を引いています。 pic.twitter.com/yTsorIFDBd
— 有斐閣六法編集部 (@yuhikaku_roppou) September 15, 2016
それにしても、あまりにも改正が遅いと思いませんか。
人生100年時代の今、離婚や再婚は当たり前なのに、女性にだけ再婚禁止期間という制限を課す時代遅れな法律が残っているのです。
他にも、昔の刑法が定めていた尊属殺人に関する条文など、法律は時代遅れなものが多い。
そもそも明治時代に作った法律を根本的にアップデートせずに使い続けているわけですから、いまだにiPhone4を買い替えずに使っているようなものです。
極めつけは、
実は民法は、1898年に施行されてから2005年に現代語化されるまで、約100年もの長きの間、歴史的仮名遣いで書かれていたのです。
いやほんと、2005年以前に法学部に入って、こんな古臭い歴史的仮名遣いの条文を勉強させられていた学生がかわいそうだなと。
歴史的仮名遣いなんか読めるようになっても、ほとんどの人にとって実社会で役立ちませんからね。
もっと早くに現代語化するべきだったはずですが、なんでこんなに遅いんでしょうか……。
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もう一つ、法律が時代遅れである決定的な例を出しておきましょう。
最近、「ディープフェイク」と呼ばれるAI技術を悪用し、アダルトビデオと女性芸能人の顔を合成させたわいせつ動画が裏で出回っているそうです。
偽動画「ディープフェイク」急増 一般人にも被害の懸念 https://t.co/Kz2duTi2aB
— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) November 20, 2020
これはまさに、テクノロジーという急速に進歩する技術が新たに発生させた社会問題です。
しかし、残念なことに、この「ディープフェイク」を直接規制するような法律は、現在の日本にはありません。
今ある法律は、こんな問題が発生することを全く予測できていなかったわけです。
「ディープフェイク」問題がひどくなれば、国会議員と官僚がようやく真剣になって新たな法律を考え出すでしょう。
気づきましたか? 法律はいつも、新たな問題が発生してから作られます。
ビットコインをはじめとした仮想通貨やNFTなどについても法律が追いついてなさすぎます。
結果として、「疑わしきものは全て禁ず」となってしまい、むしろ法律が日本のテクノロジーの発展の足を引っ張る呪いの足かせになってる気がする。
急速に発展するテクノロジーに、法律は明らかに追いつけていません。
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以上で見てきたように、法律はいつも後追いで作られています。
パソコンやスマホのOSのアップデートは非常にすばやく、バグが発生してもすぐに修正されます。
たしかに、法学部で法律の条文の読み方を学ぶと、保険の約款などのムズカシイ文章にだまされにくくなるという能力はつきます。
しかし、法律のアップデートが亀のように遅いとすると、そんな時代遅れのルールを学んでもテクノロジーの発展についていくのは厳しい。
法律はどう考えてもテクノロジーの発展のスピードについていけていないので、僕は法学部で法学を学ぶことをおすすめしません。
経済学部なら世界単位で学べる
じゃあ、なぜ経済学部に行くべきなのかというと、
現在、先進国の間で、経済が自国のみで閉じている国はありません。
EUにしてもそうですし、TPP、ASEANなど、「国を超えて経済的に協力しよう!」というグローバルな動きが今は主流です。
法律や政治は基本的には、その国だけで閉じています(法律や政治は内政不干渉なので、他国が直接口出しできません)。
- 法律=その国だけで閉じているので、勉強してもその国でしか通用しない。
- 経済=世界単位で動いているので、勉強すれば世界の多くの場所で通用する。
──めっちゃ雑な区別なので批判もあるだろうけど、僕はこう思ってる。
というか、現代はGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)などの巨大IT企業が、国境を超えて侵入してくる時代です。
これらのIT企業は、基本的に法律ではなく、経済にしたがって動いています。
やはり法律よりも経済を学んだほうが、コスパがいいと思うのです。
【まとめ】迷うなら経済学部へ
僕の結論をざっくりまとめると、
- 法律=その国だけで閉じているので、勉強してもその国でしか通用しない。
- 経済=世界単位で動いているので、勉強すれば世界の多くの場所で通用する。
➡︎経済学部で学んだほうがコスパ良し。
批判はたくさんあると思いますが、法学部に4年間行っていた僕が書いているので少しは信用してもらっていいかと。
といっても、法律が不要なわけではないので、法律を学びたい人は法学部に行けばいいです。
ですが、迷うくらいなら経済学部に行っておいたほうがつぶしが効くんじゃないかと思います。
弁護士や裁判官などの法律のスペシャリストを目指すなら法学部一択ですが、「なんとなくカッコ良さそうだから」という理由で法学部に行くと、コスパの悪い知識を学ぶリスクもあるので、迷うくらいなら経済学部かなと。
もちろん、他人のアドバイスに従って学部を選んで失敗しても誰も助けてくれないので、最後は自分の自由意志で学部は選ぶべきです。
僕は自分の意志で法学部に決めたので、特に悔いはないです。
もし、親に無理やり決められていたら、親を恨んだと思う。
自分の意志で選べば、どんな結果になっても受け入れられるので、最終的には自分で選ぶことがいちばん大事。
ということで受験生のみなさん、頑張りすぎない程度に頑張ってください。
大卒の学歴は一生ついて回りますよ、、、
参考文献
「法律は古いルール。なぜなら法律は後追いで作られるから」という意見は、この本でも書かれています。
明文化されたルールだけを根拠として、判断の正当性そのものの考察には踏み込まないという考え方は、法学でいう「実定法主義」に該当します。
ルールをしっかりと守る「実定法主義」は、一見マジメで立派な態度だと思いがちですが、変化の早い現代では、かえって危険な考え方なのです。