アップルストアのスタッフといえば、1,700円を超える高時給で知られている。
あのビッグテック企業のAppleの直営店舗だから、さぞかし待遇はいいんだろうと俺は思ってた。
でもApple Storeの店頭で働くスタッフはあくまで末端であり、
- 昇給・昇進の機会がほぼない。
- 客とファースト・コンタクトするから、質の悪いクレーマー客の処理もあり。
- Appleは給料がいいけど、店舗のスタッフに限っては時給が低くなっている。
➡︎Apple内での給与格差がひどい
━━などなど、Apple Storeのスタッフは決して将来が安泰という仕事でもないらしい。
とはいえ、日本だと高時給であることは間違いないし、外国籍の多種多様な同僚と働くこともできる。
Apple Storeでの勤務経験はたとえバイトであっても履歴書的にはムダにならないはず。
そう思って面接を受けたんだけど、
面接の内容や対策などを暴露していく。
俺が応募したのはJP-Specialist
Appleの公式採用サイトはこちら。
Appleの公式採用サイト
俺が応募したのはJP-Specialist。
要は、Apple Storeの店舗内で接客して働くスタッフのこと。
他にもエンジニアや、ブランドマネージャーなどの募集もあるけど、大したIT知識も経験もない俺にはどんな仕事なのかさえわからない。
今回募集されていたのは、週に5日間(合計40時間)出勤するフルタイムではあるけど、契約期間は1年間の契約社員だった。
時給が約1,700円だから、額面での月収は27万2,000円になる。
手取りも23万円くらいにはなるだろうから、正社員ではないにしてもそこそこの収入は得られる。
昇給・昇進のチャンスはほぼないらしいけど、それを割り切って勤務できる人には問題ないだろう。
応募方法
まずはAppleの公式採用サイトから、「履歴書を送信」をクリック。
次に、自分のApple アカウントIDの入力を求められる。
アカウントにログインすると、採用のマイページに自動的に移動する。
このページで俺が提出したのは、以下の3つ。
- ①履歴書(日本語)
- ②履歴書(英語)
- ③自己PR動画
①履歴書については、コンビニで売られているようないわゆるJIS規格の履歴書をデータで作ってPDFで送信すればOK。
おそらく必須なのは①履歴書のみなんだけど、これだけではこころもとない。
ということで、俺は②英語の履歴書と③自己PR動画を提出した。
②英語の履歴書については決まったフォーマットがないようなので、ネットに転がってる英語の履歴書のフォーマットを借用して書いた。
参考にしたサイトはこれ。
読まれる英文履歴書(レジュメ)の書き方。サンプルダウンロード付き
ダウンロードした英文履歴書のフォーマットに従って書いて、これもPDF化して送信した。
③履歴書だけではパンチが効かなくて埋もれてしまうと思ったので、自己PR動画を撮影してみた。
この動画をYouTubeに「限定公開」し、URLを知っている人だけが閲覧できるようにしておいた。
動画では、
━━みたいなことをカメラに向かってしゃべった。
接客スタッフを採用しているんだから、俺が愛想良くしゃべっている姿を見せるのが大事だと思ったからだ。
- ①履歴書(日本語)
- ②履歴書(英語)
- ③自己PR動画
━━俺はこの3つを提出することで、1次面接のチャンスをもらった。
自己PR動画は必須でもなんでもないけど、Apple Storeには相当多数の応募者がいるだろうから、少しでも目立つ努力は必要かも。
1次面接
実は、俺が応募してから3ヶ月後にAppleから面接の案内メールが届いた。
「おっそ」と思ったし、応募したこともほとんど忘れてたんだけど、貴重なチャンスなので面接を受けることにした。
オンライン面接は担当者と1対1で、時間は30分ほど。
「Webex Meetings」という初めて見るアプリで面接が実施された。
面接はかなりあっさりした内容で、職歴については大して深く聞かれなかった。
俺は前職のメーカーを半年で辞めてるんだけど、それについても深いツッコミはなかった。
やっぱり人手は足りてるっぽいので、じっくり応募者をえらんでるらしい。
面接官いわく、実際に働くまで数ヶ月待たされることもあるらしいので、すぐに働きたい人には不向きだろう。
面接で聞かれた3つの質問
面接で聞かれたのは、主に以下の3つ。
- ①Apple Storeに行ったことはありますか?
また、Apple Storeのスタッフの接客についてどう思いましたか? - ②お客様に対して、期待値を超える接客をしたエピソードを教えてください。
- ③ホテルやカフェなどいろんな場所で接客を受けると思いますが、「これはいい接客だな」と思ったエピソードを教えてください。
俺は過去に家電量販店に勤務してたので、その時の接客について深く聞かれた。
①に対しては、
━━と答えておいた。
これはけっこうウケがよかった。
(まあ、Apple Storeにも一方通行の接客してくる奴はふつうにいるけどな)
②に対しては、
ですので、その法人様のニーズに合うスペックのパソコンを網羅して、見積もり書を複数作っておきました。
━━というお客さまの期待値を超えた接客エピソードを話した。
かなり「盛った」エピソードで実際はそんなめんどくさいことはしてないんだけど、まったくの作り話ではないので違和感なく伝えた自信がある。
③については全く思いつかなかったので、
━━というその場ででっちあげたうっすいエピソードを話してしまったのが、よくなかったかもしれない。
たぶんこれが最大のミスだ。
面接官はきっと、こう思ったに違いない。
「うわ、こいつ明らかにウソのエピソード話してるな。きっとお客様に分からないこと聞かれた時も、その場しのぎのウソつくんだろうな」
明らかにウソとわかるようなことを話すくらいなら、
━━と正直にギブアップ宣言した方がよかった。
ちなみにレベルの高い接客で有名な「ザ・リッツ・カールトン」にはこんな接客エピソードがあるらしい。
新婚旅行のカップル。
夫が指輪をビーチでなくしてしまい、スタッフで一度探したが見つけられなかった。
カップルが落ち込んでいるのを見て、スタッフが$2000で金属検知器を購入し、夜な夜な結婚指輪を探した。
その結果、朝までに指輪を見つけて、お客様にお返しすることができた。
お客様は想像の通りかなり喜ばれて、感動のあまりメディアにもその話をした。
(引用サイト)
一見すると美談だけど、これがサービス残業だとしたら急に本当にあった怖い話になる。
俺は絶対にこんなめんどくさい接客はしたくないけど、かなりインパクトのある接客エピソードだ。
感動の接客エピソードはいろいろネットに転がってるので、それを適当にアレンジして話すのがいいと思う。
だから、今まで接客の経験がゼロの人は、アピールするポイントが少なくて面接を突破するのがむずかしいかもしれない。
まあ、俺は接客業の経験があっても落ちたけど。
逆質問
面接の最後に逆質問の時間があったので、俺が個人的に気になってたことを聞いた。
アップル 驚異のエクスペリエンスという本に書かれたことなんだけど、Apple Storeのスタッフはいくら商品を売ってもインセンティブで給料が増えることはないらしい。
面接の担当者も、
インセンティブがあるとお客様にとって必要ない商品を売ってしまう可能性があり、お客さまのエクスペリエンスを損なうからです。
━━と、はっきり答えてくれたので、この点は本当らしい。
俺が勤務してた家電量販店は、「この商品を売れば基本給に+1,000円!」というバリバリのインセンティブがあったので、うらやましく感じた。
Apple Storeの接客は「なれなれしい」とか「フランクすぎて失礼」とか悪く言われることも多いんだけど、
━━という事実はもっと広く知られるべし。
家電量販店には、インセンティブ欲しさに特定の商品をゴリ押ししてくる店員がいるから信用できない。
でもApple Storeの店員はインセンティブがないから、その意味では信用できるんだ。
Apple Storeの経営の秘密について知りたい人は、この本、おすすめです。
落ちた
面接の3日後に、「お祈りメール」が届いたので、無事に不合格だった。
自分ではそこそこうまくいった気がしたんだけど、ダメだった。
本当のところはわからないけど、人手が足りているようだったのでかなり採用基準は厳しかったんじゃないかと思う。
1次面接は本当にあっさりした雰囲気で、過去の職歴については深く聞かれなかった。
さっき解説した、接客に関する3つの質問にきちんと答えられるかどうかが、合否をわけるんだと思う。
Apple Storeのスタッフの採用基準としては、
そういえば、1次面接ではApple製品についての知識はまったく聞かれなかった。
Apple Storeは知識オタクよりも接客のプロを求めているらしい。
これから面接を受ける人は、接客については要勉強のうえ、チャレンジしてほしい。