家電量販店に勤めてた頃、悩んでいたのがクレーマーへの対処法。
アメリカみたいに「不満があるなら二度と来るな」くらいの接客をしたいのが本音。
でも「お客様は神様」教を信じる日本を改宗させるのはムリなので、クレーマーへの対処法は個人で考えるしかない。
今回は、クレーム処理で絶対にやってはいけないこと3つを紹介する。
クレーム処理でやってはいけないこと3つ
相手の言葉をさえぎる
これは接客業をやってる人にはもはや常識なんだけど、
クレーマーはマグマのようなものなんだ。
言いたいことは最後まで言わせて、マグマを残らず噴火させてあげよう。
クレーマーも人間。
ずっとマグマを噴火させられるほど体力のあるクレーマーはいない。
言いたいことは最後まで言わせておけば、マグマが枯れて勝手に冷静になる。
マグマが枯れるまでの間は、理不尽なことも言われるだろう。
でも、途中で「それ、あなたの感想ですよね?」と反論してもマグマが枯れるまでの時間を遅らせるだけだから何のメリットもない。
といっても、訴えるのは現実的じゃない。
勝てるかどうかもわからないし、勝ったとしても評判が命の接客業だと会社にいづらくなるのは間違いないから。
証拠は残しておいて損になることはない。
俺はヤバそうな客を接客する時はいつもApple Watchを使ってこっそり録音してた。
ポケットに入れたスマホだとどうしても録音の音質が悪くなるけど、Apple Watchならクリアに録音できる。
Apple Watchで録音できることをそもそも知らないクレーマーがほとんどだろうから、バレる心配は少ない。
(バレたらごめん)
いちばんコスパがいいのは、Apple Watch SE。
ロボット式に謝る
クレーマーは店員に感情ある謝罪を求めている。
「(はい、はい)すいません」とロボットのように無感情に謝りたい気持ちはわかるけど、クレーマーは手を抜いた謝罪には敏感に反応する。
ここは接客のスキルが問われるんだけど、
感情的になってるクレーマーは、相手が無感情だとさらに怒る。
(自分が酔っ払ってるのに相手がシラフだと、お酒を無理やり飲ませたくなる心理と同じかも)
こっちも感情を見せて、
- 「そうだったんですね! それは誠に申し訳ありませんでした」
- 「ええ! そんなことがあったんですか!? 我々店員一同勉強させていただきました」
━━こんな感じで、3流役者のクレーマーが主役の舞台劇をやってると思って演技してみよう。
ここまでやれば、ほとんどのクレーマーは怒りを静めるはず。
といっても、感情を出して謝るのが苦手な人もいると思う。
その時は、誰か他の社員(接客が得意で感情ある謝罪ができる人)に応援に駆けつけてもらおう。
クレーマーに備えて、接客の上手な社員とは日頃から仲良くしておくと良し。
凶器になるものを近くに置く
それでも怒りがおさまらない大ボス級のクレーマーもたまにいる。
滅多にいないけど、こちらに暴力を振るおうとしてくるクレーマーもいるんだ。
(さすがに女性店員に暴力を振るうクレーマーはもっと少ないけど、男性店員なら多少の暴力はOKと思ってるクレーマーはいる)
クレーマーは感情的になってるから、幼稚園児なみに理性が低下してる。
そんな幼稚園児に凶器になるものを持たせると、後先考えずに凶器を使ってくる。
まあ家電量販店だと近くに鈍器になりそうな商品がいっぱいあるし、凶器になるものを近くに置かないのは不可能なんだけど。
俺の友人の保険会社では、クレーム処理室というものがあるらしい。
その部屋は、
- 重い灰皿ではなく、プラスチックの軽い灰皿を置いている。
➡︎これなら仮に全力で投げられたとしても大したケガにはならない。 - クレーマーをやわらかいソファに座らせる。
➡︎ソファが柔らかいと体が沈み込むから、相手に暴力を振るいにくくなるし、何だか威厳もなくなって怒りにくくなる。 - 氷を入れた冷たい飲み物を出す。
➡︎冷たい飲み物を飲ませると、体温が下がって怒りも鎮まりやすくなる。
━━こんな対策がされているらしくて、これは過去に多くのクレーマーを処理してきた保険会社の経営の知恵なんだろう。
接客業だとなかなかマネしにくいけど、「冷たい飲み物を出す」くらいなら何とかマネできそうだ。
人間、暑いとイライラするのは自然だから、クレーマーが来店したら店の温度を限界まで下げるくらいの対策は家電量販店もやってもいいんじゃないかと俺は思ったなあ。
一番怖いのは冷静にキレるクレーマー
ぶっちゃけ、感情的に怒鳴りまくるクレーマーは楽勝なんだ。
マグマを吐き出させさえすれば勝手に鎮火するから、子供を相手にするようなもの。
一番怖いのは、
頭の良いクレーマーはこっちの接客の不備を論理的に追及してくるから、なかなかの強敵。
感情的なクレーマーは、ぱっと見は強敵に見えるけど、実はザコ敵だ。
本当に頭がいい人は、感情的になってキレても何の解決にもならないと知っている。
そもそもクレームを起こさないために
そもそもクレームを起こさないために2つのことに気をつけてほしい。
ぱっと見ヤバそうな客には近づかない
家電量販店では客がフロアをうろついてても、声をかけて接客するかどうかはその店員次第。
客がいたらまずは遠くから観察してみよう。
- 明らかに服装が不潔で髪も乱れている。
- すでにキレかけた顔をしている。
- 挙動不審で落ち着きがない。
━━ちょっとでも不審な点があったら、客から声をかけられないようにできるだけ遠くに移動するべきだ。
俺はヤバい客がいたら、わざと社員用の休憩室に戻ったり、トイレに入ったりして「避難」してた。
台風の目にわざわざこっちから近づく必要はない。
深入りしない
客のプライベートには絶対に深入りしないようにしよう。
特に、
- 職業
- 収入
━━この2つは絶対に深入りしてはいけない。
職業と収入は社会的なステータスで、ここにコンプレックスを抱えている人は山ほどいる。
接客はあくまでも深入りせずに表面的に。
接客は友達を作るのが目的じゃないから、表面的にでいいんだ。
今はLGBTをはじめとして関係性が多様だからだ。
俺は女性客に対して「旦那さまはおられますか?」と聞いてしまい「あ、いえ結婚はしてません…同性愛なので」と答えられて気まずい雰囲気になったことがある。
「お連れの方は」という言い方なら角が立たないのでおすすめ。
【まとめ】クレーマー処理はゲーム
どんな仕事でもそうだけど、クレーマー処理はゲームだ。
クレーマーを爆発させないように爆弾処理するのが接客の仕事。
といっても、やっぱりクレーマー処理はなかなかに精神をむしばむ。
ほんとに精神がヤバい時は逃げてもいいし、仕事を辞めてもいい。
人生は長距離走だから、あなたの体が一番大事な資本。
ヤバかったら逃げよう。
俺も逃げて逃げて生きてきたから。